ロボット・新しい動き

コミュニケーションの分野

 

「ただいまー」
「おかえりなさい。今日はどんな1日でしたか?」
人間と自然に受け答えをするロボットが映画や漫画を抜け出て現実になりつつあります。

 

人工知能(AI)や通信網の高速大容量化でオモチャと一蹴できない機能が備わり始めています。

 

 

フラワー・ロボティクスは家庭で人の動きや言葉に合わせて照明やスピーカーを操るロボット「パタン」の開発を進めています。

 

4つの車輪を制御して滑るように移動します。本体上部にデータ通信と竃力を供給する端子をもっており、これに接続した機器の脚となるのです。
カメラで人を追いながら載せた照明の明るさやスビーカーの音量を調節します。

 

家電や電子端末をロボット化・知能化する動きは活発です。
シャープは小型で持ち運べるロボット電話「ロポホン」をロボット開発会社のロポ・ガレ一ジと共同開発、2016年前半に発売します。

 

形は二足歩行型ロボットで音声通話やメール、カメラ機能を備えています。
「写真撮って」などと話しかければ、頭部のカメラで写真や動画を撮れるほか、撮影した映像を壁などに映し出すこともできます。

 

人間とコミュニケーションするロボットでは、
ソフトパンクグループが2015年6月に家庭用に発売した「ペッパー」が存在感を強めています。
歯科医院で子供の不安を和らげたり銀行で接客をしたり、導入例が増えているのです。

 

富士ソフトの小型ロボット「パルロ」も介護の現場で高齢者の話し相手といった役割を担います。

 

いずれのロボットも人間とのやリ取りを繰り返しながらAIを賢く、機能を向上していく仕組みになっています。

 

ものづくりの分野

 

あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」がものづくりの現場を変えつつあります。

 

次の産業革新を目指す大きな流れが生まれつつありますが、ロボットはこの先も現場の主役であり続けるでしょう。

 

国際ロボット連盟によりますと世界には150万台もの産業用ロボットが稼働しており、2018年には230万台を超えるといいます。日欧の大手メーカーに加え、新興企業も存在感を高めています。

 

川崎重工業は人間のように2本の腕を操り、人が両手で行う作業を代替する双腕ロボット「デュアロ」を開発しました。
衝突防止など安全性能が高く、スマートフォンなどの生産現場で人と並んで作業します。水平に動く「スカラロボット」を採用して双腕となるのは世界初なのです。

 

モノをひねるといった複雑な動作が可能な双腕タイプはスイスのABBなど他の大手も拡充している分野です。

 

米国のベンチャー、リシンク・ロボティクスは双腕タイプの草分け的な存在です。

 

2012年に「バクスター」と呼ぶ機種を発表し、既存の大手メーカーとは異なる路線を走ってきました。
しかし2015年3月、腕を1本だけ備えた「ソーヤー」を発表、業界を驚かせたのです。

 

大手とベンチャーの事業領域は確実に重なり始めている。

 

例えば電子機器の受託製造サービス(EMS)などで多く使われる小型ロポットは三菱電機不二越が得意としてきましたが
デンマークのベンチャー、ユニバーサルロポットが設定の手軽さを売りにして攻勢をかけています。

 

ロボットの大需要地、中国では新松機器人自動化といった現地企業が着々と技術力を高めています。

 

世界トップシェアのファナックはロボットの設定や制御の効率化を目指し、日本のベンチャー、プリファードネットワークスと手を組むなどしています。

建設・点検の分野

 

「人手不足」解消の救世主に

 

ロボットは人手不足に悩む建設業界の救世主にもなりそうです。

 

工事を担う技能工・建設作業者は1997年に464万人いましたが、2014年には約3割減の344万人にまで減りました。

 

2020年の東京五輪開催に向けたスタジアムやホテルの整備、老朽インフラの点検と、課題は山積しておりロボットを軸にした省人化技術にかかる期待は大きいものがあります。

 

なかでもオフィスや住宅など建築は多くの人手がかかります。
労務費は案件の採算を大きく左右するだけに、企業にとっても重要なテーマとなっています。

 

竹中工務店は東京理科大発のベンチャー、イノフィス(東京・新宿)と組み耐震補強工事にアシストスーツを導入します。
重量物を持ち上げる際の腰の負担を低減し、作業効卒を高めるのです。

 

そのほかクレーンの音声操作技術も閲発しており、将来的には人工知能による自動運転化も目指しています。

 

大林組もビルや工場の施工効率を高める取り組みを進めています。
内装ボードなど資材を自動運搬するシステムで、現場内に貼った磁気テープを頼りに台車が走行しています。
資材を種類やサイズごとに分けて仮置きしてく作業は人手がかさむため、ロボット化で人員の効率配置につなげるのが狙いです。

 

建築だけでなく土地の造成など土木分野でも自動化が進んでいます。

 

コマツはドローンや建機を組み合わせ、工事を効率化する業者向けサービス「スマートコンストラクション」を2015年に始めました。

 

これは上空からドローンで現場を撮影、3次元の設計図面と比較します。
その情報をもとに建機の動作を緻密に制御し、土を切り崩したり盛ったりといった作業をこなすというものです。

 

作り上げた構造物の点検もロボットが担おうとしています。
東京工業大学発のベンチャー、ハイボットは身をよじりながら進んで配管内部を調査するロボットなど複数の機種を開発しています。

 

送電線にぶら下ってキズの有無を点検する「エクスプライナー」は日立ハイテクノロジーズグループに国内外の独占販売権が委ねられています。

医療・福祉の分野

 

精密動作はロボットの得意とするところです。
術野が狭く、微細な切除や縫合が必要な手術では既に活用が始まっています。

 

また、一度動かなくなった四肢の機能を再生するのにもロボット技術の応用が期待されています。医療や福祉にかかる社会保障費の増加は世界各国共通の悩みで、ロボットの助けは不可欠というわけなのです。

 

必要最低限の切開部から器具を挿入する内視鏡外科手術は審者の負担が少ないのです。
外からは見えない患部で確実に作業をこなすための支援ロボット、その代表格が米インテュイティブサージカル「ダビンチ」です。

 

執刀医は手術台と別の操作台に向き合うのです。
目の前には患者体内の3次元映像が映し出され、指で入力装置を動かすと、その動きがロポットに伝わる仕組みになっています。前立腺がんの手術など世界で多くの成果をあげています。

 

同じ分野では東京工業大学と東京医科歯科大学発の医療機器ベンチャー、リバーフィールドも製品を打ち出しています。
空気圧で駆動するのが特徴で、電動モータ一と比ぺて繊細な動きができるのです。

 

リハビリの分野ではロボット技術を応用したアシストスーツの導入が始まりつつあります。サイバーダインのほか安川電機が資本・業務提携するリウォーク・ロボティクスなど市場開拓をにらみさまざまな企業が参入しています。

 

こうしたアシストスーツの駆動装置は現状、電動モータ一が主流ですが、人体に沿って複雑な動きをこなすのは難しいとされています。

 

岡山県の老舗組みひもメーカー、池田製紐所は東京工業大学や岡山大学と組み、空気圧で伸び縮みする人工筋肉を開発、近く量産を始めます。
シリコンなどのチューブの周りに糸を編んだ二重構造で、チューブに空気を出し入れして使います。

 

アシストスーツというこれまでにない市場の創出により、新たな部品ニーズも拡大しているのです。

災害対応・廃炉で活躍

 

過酷な環境下で活躍する!

 

火山活動や集中豪雨による土砂崩れなど日本列島で自然災害が相次いでいます。

 

被災者の救出や現場の早期復旧にはドローンやロポ ットによる初動が欠かせません。

 

東京電力福島第1原子力発電所の廃炉でも高放射線下での作業に既に多くの機体が投入されています。

 

エンルート(埼玉県ふじみ野市)はドローンの一種、マルチコプターの開発や運用を手がけるベンチャー会社です。顧客と一体となって機体の製作から現場投入までを手がけるビジネスモデルで、事故を防ぐ運用ノウハウを蓄積してきました。箱根山や御嶽山などの火山活動の調査で実績を残しており、省庁や企業から大きな信頼を得ています。

 

ドローンが空から現場の状況を把握した後、次に活躍するのは地上を走行するロボットです。
例えば土砂災害では地盤の強度を把握しないままヒトや建設機械が立ち入ると、二次災害を引き起こしかねません。

 

こうした現場で役立つのが「前後フリッパー型」と呼ぶ2種類の無限軌道を備えたロボットです。
メーンとサブの無限軌道が互いに補い合って、不整地や階段を進むのです。

 

千葉工業大字発のベンチャー、移動ロボット研究所(神奈川県鎌倉市)などが開発しています。
無限軌道を使ったロボットは福島第1原発の廃炉に向りた作葉でも数多く採用されています。

 

三菱重工業東芝は状況把握のほか床や壁面の除染で走行型のロボットを開発してきました。
ほかにも汚染状況を調べるため、床面のコンクリートを採取できる機種もあるようです。

 

日立製作所などはヘピのように狭い配管を進み、広い揚所では安定性の高い「コ」の字に変形する小型ロボットを開発しました。
2015年4月に福島第1原発1号機の格納容器内へ役入、しばらく作業は順調に進んだが、不具合で活動不能に陥ってしまいました。
放射線量や内部の様子などデータを収集できたのですが、過酷環境下で活動するロボットを開発する難しさも浮き彫りになったのです。

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