リンパ浮腫の合併症

リンパ浮腫の合併症

 

リンパ浮腫では、むくみ以外にさまざまな合併症を併発し、治療を必要とする場合があります。

 

ここでは、その代表的なものについて説明します。

 

リンパ浮腫の合併症記事一覧

リンパ浮腫の患者の多くが経験する合併症が、蜂嵩織炎(ほうかしきえん)と呼ばれる炎症です。リンパ浮腫を起こした患肢ではリンパが移動できにくくなっているので、細菌の侵入を防ぐはずの白血球がうまく働きません。そのため、細菌感染を起こしやすくなっています。蜂窩織炎を起こすと、一般的には患肢に赤い斑点や広範囲の発赤がみられ、同時に38℃以上の高熱が出て、患肢の痛みをともないます。軽い場合には、全身的な発熱が...

リンパ浮腫の発症早期や急に悪化したときには、蜂高織炎と同じように患肢全体の発赤や軽い痛みや熱感はみられるものの、全身的には熱が出ず、血液検査でも白血球の増加や炎症反応の上昇がみられない場合があります。この状態には患肢にたまったリンパ球などが関係していると考えられていますが、なぜ発赤が生じるのかはわかっていません。蜂窩織炎と考えて抗生物質を長期間試用する医療機関もありますが、急性皮膚炎であれば抗生物...

患肢の足の趾や手の指のむくみが進行すると、指趾のあいだがむれて白癖症にかかりやすくなり、また治りにくくなります。また、つま先まである弾性着衣を使用することでも、むれやすくなります。そこで足の趾や手の指のあいだはいつも乾燥させ、清潔にするように心がけてください。白癖症などの皮膚感染症は蜂窩織炎の原因となるので、早期に治療を受けることも大切です。

患肢をけがしたあとの傷口や、皮膚のすぐ下のリンパ管が拡張して水庖状となった部分からリンパが外に漏れ出すことがあり、リンパ漏と呼ばれています。リンパがいったん漏れ出すと、数日にわたり止まらないことがあります。悪化すると皮膚潰瘍を作ることがあり、非常に治りにくくなります。蜂嵩織炎の原因にもなるので早期の治療が必要ですが、通常の傷への処置と同時に十分な圧迫を行うことで改善が見られます。

色素沈着は下肢のリンパ浮腫に多く、大腿や下腿の皮膚にしばしばみられます。このような場合には、静脈の病気を合併して静脈圧が上昇していることかあり、静脈機能の検査が必要となります。また先天的なリンパ浮腫に色素沈着をともなうこともあり、リンパ浮腫と静脈の異常、患肢の骨形成異常を合併しているときには「クリッペル・トレノーニー症候群」と呼ばれます。

患肢の皮膚はふつう、非常に乾燥してきます。また皮膚の表面近くにむくみが長くつづくと、非常に硬くなります。そうなると皮膚表面にひび割れができやすくなるので、これも感染の原因となります。クリニックなどでは皮膚の乾燥を防ぐため、治療前にユベラなどのビタミン入り軟膏やヒルドイドローションなど、ノンアルコールの保湿剤を使用して皮膚を保湿するようにしています。また、皮膚の硬化が進み炎症をくり返すことにより、皮...

浮腫を起こした下肢の足首の関節やひざの関節などをエコー検査で調べると、関節まわりの靭帯にもリンパがたまっていることがあります。このような場合、見た目も関節自体が太くなって正座しにくくなるなど、関節運動の制限がみられるようになります。また、高齢者の下肢リンパ浮腫では、むくみによる負担が腰痛や膝の痛みの原因となるため、歩行困難がを生じて、その治療が必要となることもあります。このような患者さんでは、いす...

悪性腫瘍に対する骨盤内手術のあとには、「リンパ嚢腫」と呼ばれるリンパがたまった袋ができることがあります。手術直後からむくんでいるときには、この嚢腫を合併している可能性を考えなくてはなりません。患者さんのなかには、巨大な嚢腫が静脈を圧迫し静脈血栓症を引き起こす方もあるので、腹部超音波検査などによって嚢腫の有無を確認しておく必要があります。子宮がんや卵巣がんなど婦入科手術のあとには、しばしば排尿障害も...

乳がんや子宮がん、卵巣がんなどの治療中には、抗がん剤をしばしば使用します。そのような場合、一部の抗がん剤の副作用として、全身、とくに手足にむくみがみられることがあります。利尿薬やステロイド薬を使用すると症状は軽くなりますが、リンパ節をとった側(乳がんなら手術側、婦人科がんなら両下肢)に強い浮腫が残ることがあります。抗がん剤との関連性は不明ですが、この状態を放置すると皮膚全体が非常に硬くなり、関節の...

リンパ浮腫の発症や悪化の原因を考えるうえで、もう一つ重要なのは静脈のはたらきです。静脈はリンパ管よりもはるかに多くの血液を運んでいます。そのため、静脈の障害が起こると、静脈のうっ血が生じて強い浮腫がみられます。子宮がん手術後のリンパ浮腫で患肢側に手術や放射線治療が原因と思われる骨盤内の静脈の狭窄(狭くなった状態)を認める症例があります。また、もともと片足に静脈瘤をもっていた患者さんが婦人科の手術を...

page top